そんな不安や焦りを感じていても大丈夫です。
誰にも言えないその気持ちは、自然なものですよ。
私自身、以前の職場で「自分には専門的なスキルが何もない」と思い込み、将来が見えなくなるほど焦り続けた時期がありました。
そして、これまで2000人以上の生き方やキャリアを支援してきた中でも、この悩みは多くの人が共通して抱える“心の痛み”だと実感しています。
この記事では、まず「なぜ焦りが生まれるのか」という不安の正体を整理します。
そのうえで、今日から実践できる具体的な対処法を、専門家の視点からわかりやすくお伝えしていきますね。
何者にもなれないと焦る。その不安の正体
意外に思うかもしれませんが、「何者にもなれない」と感じる焦りや不安は、本人の能力とは関係ないんです。
ただ、いくつか共通した“心のクセ”が影響している場合があります。
まずは、不安がどこから生まれているのか整理してみましょう。
1. 他人や周りの成功と比較してしまう
不安の原因で多いのが、他人の成功と比べてしまうことです。
特に、SNSには活躍している姿が並びやすく、その断片的な情報と自分を比べ、「自分は遅れている」と感じやすいのです。
焦りの多くは、この比べ癖から生まれます。
2. 「何者か」の定義が曖昧で高すぎる
そもそも「何者か」とはどんな状態でしょう。
“すごい人”“特別なスキルがある人”といった曖昧で高すぎる理想像になっている場合が多いものです。
その理想像と現在を比較すれば、足りない部分が強調され、焦りが募ってしまいます。
3. 人生の節目で生まれる自然な焦り
就職、転職、結婚、年齢の節目など、ライフステージが変わる局面では誰でも立ち止まります。
周囲が次の段階に進んで見えると、「取り残されている」と感じることがあります。
この焦りは、能力ではなく環境の変化によって生まれる自然な反応ですよ。
4. 劣等感が強く、できていることが見えていない
かつての私も、専門性が身についていないと感じ、劣等感ばかりを抱えていました。
ただ、実際にはできていたことも多く、“ないもの探し”に偏っていたのだと思います。
劣等感が強いと、持っているものに気づけず、不安だけが大きくなってしまいますね。
何者かになる必要はない。まず知ってほしいこと
不安の正体が見えてきたところで、ここからは焦りを手放すために大切な3つの考え方をお伝えします。
何者かにならなければという思い込みから、少しだけ離れてみましょう。
1. 何者にもなれないのではなく、まだ途中
「自分は何者にもなれなかった」― そう感じるのは、“今”という一点を切り取って判断するからです。
人生はまだ続いていますし、結論を出すのはずっと先で構いません。
「なれなかった」のではなく、ただ「まだなっていない」だけ。
つらい気持ちはわかりますが、答えを急いでも、何の役にも立たないんです。
2. 他人は“結果”しか見せていない
私たちは、他人の輝いて見える姿と日常の自分を比べて焦りを感じやすいもの。
でも、よく考えてみてください。
他人が見せているのは、多くの場合「うまくいった部分」だけです。
その裏側にある膨大な時間、失敗、試行錯誤、地味な作業はほとんど見えません。
輝いて見えるスポーツ選手も、ネットニュースで見かける成功したすごい人たちも、みんな同じ。
見えている一部分だけを切り取って、自分の“全部”と比較する必要はないのです。
焦りは、事実ではなく錯覚から生まれることが多いですよ。
3. 自分だけの価値は必ず積み重なっている
「何者かになる」とは、特別なスキルを身につけることではありません。
日々の経験そのものが価値になります。
私もかつては「雑用ばかりで専門性がない」と焦っていました。
しかし今は、その雑用として経験した電話対応から商品開発、出荷作業まで、すべての経験が受講生の悩みを理解できる大きな強みに変わっています。
一見無関係に見える経験や超優れたスキルでなくても、組み合わせれば“自分だけの価値”になります。
とはいえ、「いや、私の経験は価値にならない」と思うかもしれませんね。
でも、その思い込みが自分の強みに気づく邪魔をしているだけなんですよ。
何者にもなれない焦りから抜け出す対処法
「何者にもなれない」焦りの正体がわかったところで、次にその焦りから抜け出すための対処法を紹介します。
対処法はたくさんありますが、闇雲に試すとかえって混乱します。
ここでは、2000人以上の方を指導してきた経験から、最も効果的な方法を3つのステップに分けて解説しますね。
ステップ1:過去の棚卸しで自分のパターンを知る
何者にもなれない焦りから抜け出す1番目のステップは、過去の棚卸しをして、成功パターンを知ることです。
1. これまでの行動と経験を棚卸しする
まずは、ご自身の過去の事実を客観的に集めます。
具体的な方法としては、ノートやPCに、幼少の頃から現在まで、記憶にある限り書き出す「自分史づくり」がおすすめ。
キャリアだけでなく、部活動、アルバイト、趣味、人間関係など、どんな小さな出来事でも書き出してみましょう。
以下の記事に詳しく書いてあり。
▶自分を振り返る完璧な方法【成長できる自分史の書き方と効果】失敗しない人生の振り返り
2. 成功体験を整理し成功パターンをつかむ
次に、書き出した中から、小さくても「うまくいった経験」を抜き出します。
ここで注意したいのは、人は当たり前にできることを成功と捉えにくい点。
脳は成功より失敗を強く記憶するため(ネガティブ・バイアス)、見つけにくいことも多いものです。
成功体験を並べたら、共通点を探してみましょう。
たとえば「発表で褒められた」「チームをまとめて感謝された」といった経験が続くなら、人を巻き込む力がパターンかもしれませんね。
成功に気づきにくい傾向を補うために、
「気づけなかった成功体験を発見する100の質問集」を作りました。
質問内容は「達成感を得た経験」「人間関係での体験」「学びや成長」「自分の得意なこと」「困難を乗り越えた経験」など10のカテゴリーに分かれています。
さらに、自分の中に眠る『成功パターン』を発見し、今後の方向性を決めるためのワークシート付きです。
私がこれまでの15年間で2000人以上の指導実績が実証するものです。有料にするか迷いましたが、悩まれている人が大変多いためひとまず無料で配布することにしました。
ただし、いつまで無料で配布するかわかりません。必要と思う人は入手して保存することをおすすめします。
下記からどうぞ。
3. 失敗との向き合い方(失敗の解釈)を整理する
成功パターンと同時に、失敗の整理も欠かせません。
重要なのは、失敗そのものではなく、「そこで何を学んだか」をはっきりさせる点です。
方法はシンプルで、失敗を書いた横に学びを書き加えるだけ。
たとえば「任された仕事が遅れた」という出来事の横に、「途中で相談する必要性を理解した」と記録する形です。
この作業を続けると、失敗が単なるマイナスではなく、次につながる資産に変わりますよ。失敗から学ぶ方法は、以下に詳しく書いてます。
▶失敗から学ぶ力とは?成功者に学ぶ失敗を成功に変える方法7選
ステップ2:今の思考を変え自己効力感を育てる
何者にもなれない焦りから抜け出す2番目のステップは、思考のクセを変えて自己効力感(自分もできるという感覚)を育てることです。
過去の棚卸しの次は、現在の受け止め方を変えていきましょう。
1. 事実と解釈を分ける
焦りは、そもそも「起きた事実」ではなく、「その後につけた“解釈”」から生まれます。
たとえば「仕事でミスをした」は事実ですが、「自分はダメだ」は解釈。
まず事実だけを書き出し、次に感じたこと(解釈)を分けて記録します。
この二つを切り離すだけで、「今はそう解釈しているだけ」と気づき、焦りとの距離が取りやすくなります。
2. 「できたこと」を記録し自己効力感を高める
「不安の正体」でも触れましたが、劣等感が強いと、自分にできたことが目に入らなくなります。
具体的な方法としては、手帳やノートに、どんなに小さなことでも構わないので、その日「できたこと」を書き出してみましょう。
「朝、時間通りに起きられた」「メールがうまく書けた」など、本当にささいなことで構いません。
これを続けると、「自分は何もできていない」という思い込みが消え、「今日もできた」という感覚(自己効力感)が育ちます。
重要なのは、「できた!」という事実をキャッチアップする感覚です。
3. 比較対象を他人ではなく過去の自分に変える
焦りの最大の原因は、「他人との比較」によるものです。
そこでステップ2の最後は、比較する軸を「他人」から「過去の自分」へと意識的に変えること。
具体的な方法としては、SNSで他人の活躍を見る時間を減らし、代わりにステップ1で作った「自分史」や、去年の手帳を見返してみることです。
「昨日より1つ多くできた」「半年前はこれができなかった」という成長に目を向ける。
もっと昔に遡ってもかまいません。学生の頃でも子どもの頃でも。
ご自身の成長を正しく実感できるのは、他人ではなく過去のご自身との比較だけなのです。
ステップ3:未来の軸を決め小さな行動に集中する
何者にもなれない焦りから抜け出す3番目のステップは、未来の軸を定め、具体的な行動に集中することです。
過去の棚卸し(ステップ1)、現在の思考の整理(ステップ2)を経て、いよいよ未来へ進む段階ですね。
1. 自分の価値観に優先順位をつける
ステップ1の棚卸しで、ご自身の価値観(何を大切に思うか)がいくつか見つかったかもしれませんね。
ここで重要なのは、それらすべてを追おうとしないことです。
「今いちばん大切なものは何か」と問い、あえて優先順位をつけます。
たとえば「安定より挑戦」「お金より時間」と決めるなど、軸を一つに絞るだけ。
日々の選択に迷いが減り、焦りが和らいでいきます。
自分の価値観がまだわからない方は、以下を参考にどうぞ。
▶価値観の見つけ方完全ガイド|プロ直伝70の質問と実践ワーク
2. 仕事での小さな専門性を意識する
「何者かになる=大きな専門性」と考える必要はないんです。
過去の私も「雑用ばかり」と焦っていましたが、その幅広い経験こそが今の専門性につながっています。
ここでいう専門性とは、特別なスキルではなく、日々の仕事や生活の中で負担なく続けられる作業や、自然に工夫している部分のことです。
たとえば、
- 段取りを整えるのが得意
- 資料をまとめるのが速い
- 相手の意図を汲み取るのが上手
- 料理をアレンジするのが好き
など、目立たないけれど確実に役立つ要素です。
こうした“続けられる部分”を丁寧に深めていくと、結果的に他の人には真似しにくい専門性へと育っていきます。
専門性は、特別な才能の結果ではありません。
人それぞれが持つ“偏り”や“癖”を突き詰めた先に生まれるものです。
日々の仕事の中で、「小さな専門性を磨いている」という意識を持つことが、焦りを減らすことになります。
3. 他人を参考にせずヒント化する
ステップ2で他人と比較しないとお伝えしましたが、無理に他人の成功事例を遮断する必要はありませんよ。
すごいなで終わらせず、「なぜこの人はうまくいったのか?」と分析し、行動のヒントとして活用します。
他人を「参考(=ゴール)」にするのではなく、あくまで「ヒント化(=道具)」として扱う。
この意識転換が、焦りをヒントに変えるコツです。
4. 迷いにくい環境を行動して作る
最後の仕上げは、環境づくりです。
せっかく軸を決めても、周りの情報に振り回されては意味がありません。
「この時間はSNSを見ない」とルールを決めたり、ご自身の目標と同じ目標を持つ人たちが集まるコミュニティに参加したりするのも効果的。
また、迷いにくい環境とは、客観的な視点をくれる相談相手を持つことも含みます。私自身も「自分力活用講座」などで、その環境づくりのサポートをしています。
【体験談】私も「何者にもなれない」と焦っていました
この記事で解説してきた焦りの正体や対処法は、すべて私自身が経験し、乗り越えてきたことでもあります。
焦り続けた日々と思い込みから抜けた瞬間
かつて家族経営の小さな会社で働いていました。
部署が分かれているわけではなく、電話対応から商品開発、ホームページ制作、組み立てや出荷まで、毎日が雑務の連続でした。
夜遅くまで働いても、「専門的な力が身についている」という実感はありません。

自分は何者にもなれないのではないか
当時は、その思いだけが強く残っていました。
しかし独立して講師の仕事を始めた今、あの頃の経験が大きな支えになっています。
会社全体の流れを理解できていたこと。多様な業務に触れていたからこそ、さまざまな職種の悩みを立体的に理解できるようになったこと。
あのとき「雑用」と思っていた仕事が、今では大切な土台になっています。
何者でもなかった時期の苦しさから目を背けなかったことが、後に専門性へとつながったのだと感じています。
専門的なものを身につけようと焦ることをやめ、自分が強く関心を寄せていた「人生史(価値観や強み)」の分野を深めることを選びました。
それが結果的に専門性へと育ち、書籍の出版につながり、「この仕事が好き」と言えるようになりました。
2000人以上を指導して見えた共通点
この体験は、私だけのものではありません。 これまで2000人以上の方を指導してきて、一つの共通点が見えました。
それは、多くの方がかつての私と同じように、「自分には専門性がない。今の経験は役に立たない」という思い込みによって、ご自身の価値を見失っていることです。
ご自身が雑用とか大して役に立たないと思っている経験こそが、他人にはないユニークな強みであることは、本当によくあることなのです。
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ただ、そうはいっても、ご自身が当たり前だと思っている経験の中から、本当の強みを見つけ出すのは、なかなか難しいものですよね。
このマニュアルは、これまでの人生を振り返り、自分の特性を体系的に整理して分かりやすく理解することができます。
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私との直接のやりとりもできますよ
まとめ:あなたはすでに「何者か」である
「何者にもなれない」。この記事は、その苦しい焦りを軽くするためにまとめました。
不安の正体は、多くの場合、他人との比較や高すぎる理想像がつくる思い込みです。
外側に特別な何かを求める必要はありませんよ。
かつて雑用と感じていた経験が、後になって大きな力になったように、積み重ねてきた出来事の中にこそ価値が眠っています。
当たり前だと思ってきた行動や、小さな積み重ね。
それらは、他の人にはない形で役立つ場面が生まれます。
すでに歩いてきた道が、すでに「何者か」であることの証でもあります。
焦らず、これまでの経験を静かに信じながら、一歩ずつ進んでみてくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございます。
魂の女性成長支援・浅野塾代表 浅野ヨシオ

浅野ヨシオ:
女性成長支援コンサルタント。
魂の女性成長支援・浅野塾 代表。
2007年よりビジネスパーソンや出版希望者を対象とした、自分の強みを発見し唯一無二のブランドを作る講師として活動。ハイキャリアの女性たちでも自分の能力がわからず強い自信を持てずにいることを知る。
2011年、女性成長支援の講座を起ち上げ、幼少期から現在までの人生史を平均200時間以上かけて深掘りする指導に定評がある。
通算14年2000人超の女性専門指導の経験により、心を縛る足かせをはずし、自分にとっての幸せを追求する自己実現プログラムを多数構築する。
著書に「私はこの仕事が好き!自分の強みを活かして稼ぐ方法(大和出版)」がある。

◎メディア実績:日本経済新聞/日経WOMAN/PRESIDENTほか多数
◎講演実績:横浜市経済観光局/多摩大学/NPO法人Woman’sサポート/自由大学/青森商工会連合会/天狼院書店/(株)スクー/ほか多数










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